提出されているINDC

 現在の排出削減目標は、①カンクン合意の下で自主的に提出されている削減・抑制目標と、②京都議定書の下で掲げられている削減目標の2本立てになっています。②については、京都議定書に参加している締約国とアメリカやカナダのように京都議定書に参加していない締約国の大きく二つに分かれており、京都議定書に参加している締約国も、第2約束期間(2013~20年)の削減目標を持っている締約国(先進国)と削減目標の無い途上国、第2約束期間の削減目標を拒否した日本、ロシア、ニュージーランドなどに分かれています(表4)。
表4 京都議定書の現状
京都議定書締約国非締約国
第2約束期間
(2013~20年)
参加国非参加国
削減目標ありなしなし
締約国EU27、クロアチア、アイスランド、オーストラリア、ノルウェー、スイス、モナコ、リヒテンシュタイン、ベラルーシ、カザフスタン、ウクライナ途上国日本、ロシア、
ニュージーランド
アメリカ、
カナダ
出所:CASA作成
 COP17で、2020年以降の新たな法的枠組みには、京都議定書に参加していないアメリカ、すでに議定書離脱の可能性を報じられていたカナダも含め、すべての締約国が参加することが合意されました。COP19では、すべての締約国は各国が定める2020年以降のINDCを提出するよう要請されています。また、COP20で、INDCは「現状の取り組みをこえるもので、継続して前進するもの」とすることが合意されました。いわゆる「後退禁止(no backsliding)」と言われるもので、新しい枠組みの下で各国の目標や行動が実効性をもつことを担保しようとするものです。たとえば、日本の2020年目標のように、鳩山内閣が2009年9月に、1990年比で25%削減の2020年目標を国際的に公約したにもかかわらず、2013年11月には1990年比で3.1%増加する2020年目標に変更したような「後退」は許さないということです。
 世界の主要な研究者のグループである「Climate Action Tracker(CAT)」によれば、9月1日現在、EU加盟国を含め56ヵ国分、29のINDCが提出済みで、これらは2010年時点の世界全体の排出量の約65%をカバーし、総人口の43%をカバーするものになっています。CATは2010年時点の世界の排出量の64.5%、総人口の41%をカバーする16のINDCを分析した結果、現在提示されているINDCは2℃目標と大きく乖離しており、2025年までに12~15Gt、2030年までに17~21Gtの排出削減量の上積みが必要と推計しています。とくに、ロシア、カナダ、ニュージーランド、日本などのINDCは「不十分」と評価されています。 なお、「2015年合意」において、目標案がどのような位置づけになるのか(どの文書に位置づけられるのか、また法的拘束力を持つのかなど)は、現時点では決まっていません。
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