2015年合意の内容

 COP21で合意が目指されている「2015年合意」は、これまでの交渉で、緩和(温室効果ガスの排出削減)、適応、資金、技術開発と移転、能力構築(キャパシティ・ビルディング)、行動と支援の透明性といった要素をバランスよく扱うべきであること、異なる国別事情に照らし「共通だが差異ある責任と個別の能力(CBDRRC)*1」という原則を反映した野心的な合意であることが確認されており、2020年以降の新たな国際枠組みである「パリ合意」と「COP決定」の2本立てになることはほぼ合意されています。「パリ合意」には新しい枠組みの核(コア)になる内容を、「COP決定」にはそれを補足・補佐する内容を書き、これらをパッケージとして合意することが想定されています。
表1 ADP共同議長が提示した「パリ合意」の構成案
前文
定義
総則/目的
緩和(排出削減)
適応、損失と損害(ロス&ダメージ)
資金
技術開発と移転
能力構築(キャパシティ・ビルディング)
行動と支援の透明性
約束、貢献、および実施と野心に関するその他事項に関わる時間的枠組みおよび過程
実施の促進および遵守
手続きおよび制度的規定
出所:CASA作成
表2 ADP共同議長が提示した「COP決定」の構成案
前文WS1及びWS2
「パリ合意」の採択
国別貢献案(INDCs)
決定要素
D 緩和(排出削減)
E 適応、損失と損害(ロス&ダメージ)
F 資金
G 技術開発と移転
H 能力構築(キャパシティ・ビルディング)
I 行動と支援の透明性
J 約束、貢献、および実施と野心に関するその他事項に関わる時間的枠組みおよび過程
K 実施の促進および遵守
2020年までの野心(WS2)に関する要素
合意が発効するまでの作業計画
組織的アレンジメント
運営および予算
出所:CASA作成
* Ⅴには、ⅢのD~Kが記載されています。
 表1は、2015年7月24日にADP*2の共同議長が提示した「パリ合意」の構成案です。表2は同じくADPの共同議長が提示した「COP決定」の構成案です。
 表1の「パリ合意」の構成案と表2の「COP決定」の構成案とで異なるのは、「WS2(ワークストリーム2)」に関する事項が「COP決定」に入っていますが、「パリ合意」には入っていないことです。「WS2」は、2020年までの排出削減レベルの引き上げに関する交渉なので、2020年以降の新たな法的枠組みについての合意である「パリ合意」の項目にはなりません。この「パリ合意」と「COP決定」の構成案は、あくまで共同議長の提案であり、「パリ合意」と「COP決定」がこのような構成になるかどうかは未定で、今後の交渉に委ねられています。表1の「パリ合意」の構成案のD~Kと、表2の「COP決定」の「決定要素」のD~Kとは同じですが、このうちどの要素が「パリ合意」に入り、どの要素が「COP決定」に入るのかは決まっていません。同じ要素が「パリ合意」と「COP決定」の両方に入ることもあります。
 表1と表2に共通の「D緩和」、「E適応、損失と損害」、「F資金」、「G技術開発と移転」、「H能力構築(キャパシティ・ビルディング)」の要素は、2007年のCOP13のバリ行動計画以来、主要な交渉テーマとして交渉が重ねられてきており、2020年以降の枠組みにおいても、こうしたテーマについて合意が必要なことは共通の認識です。
 なかでも今回のCOP21の最大の焦点は、「D緩和」で、とりわけ各国の2020年以降の削減・抑制目標(INDC*3)です。

*1 CBDRRC:common but differentiated responsibilities and respective capabilities
*2

行動強化のためのダーバン・プラットフォームに関する特別作業部会。2011年、南アフリカ・ダーバンで開催されたCOP17で設置された作業部会で、2020年以降のすべての国が参加する新たな法的枠組みを交渉する場。
*3


INDC:intended nationally determined contributions。2020年以降の枠組みの下で実施される削減・抑制目標を指します。緩和だけでなく適応をINDCに含める国もあります。日本語では「国別目標案」、「約束草案」などと訳される場合もあります。
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