新たな段階に入った条約・ 議定書交渉

 COP17で、先進国及び途上国を含むすべての国を対象にした新たな枠組み交渉を開始することになったことは、条約・議定書交渉が新たな段階に入ったことを意味しています。
 モントリオールでの京都議定書の第1回締約国会合以来、条約・議定書交渉の主要な争点は、気候変動枠組条約や京都議定書の基本的な枠組みである先進国と途上国の二分構造からの脱却でした。共通だが差異ある責任原則により、先進国のみが削減義務を負うのか、それとも途上国も相応の削減努力をすべきかどうかが問題となっていました。また、京都議定書に参加していないアメリカをどう巻き込むかも主要な論点となっていました。
 京都議定書が合意された1996年当時は、世界のCO排出量は約240億トンで、アメリカが最大の排出国で世界全体の23%を排出し、2番目が中国の15%、3番目がソ連・東欧諸国で14%、4番目が日本5%であり、ソ連・東欧諸 国を含む、世界人口の4分の1に過ぎない先進国が、世界のCO排出量の3分の2を占めていました(図1)。一人当たり排出量でも、ソ連・東欧諸国を除く西側先進国は12.5トンで、途上国平均の2.0トンの約6倍以上でした。
 ところが、中国やインドなどがCO排出量を急増させ、中国のCO排出量がアメリカを抜いて世界1になり、現在では途上国の排出量が先進国を越えています。こうした途上国の排出量の増加からしても、アメリカは もちろんですが、中国などの主要な途上国にも何らかの対策をとってもらわないと地球温暖化が防止できないことは明らかです。その意味では、途上国も含めて「すべての国」が参加する枠組みが必要になっていることは否定できない現実です。
 しかし、そうは言っても、小島嶼国や後発開発途上国などは、総排出量も一人当たり排出量も極めて少なく、まだまだ経済的な発展が必要です。一人当たり排出量では、先進国は途上国の約3倍であり、地球温暖化の原因を作ったのは明らかに先進国であることも忘れてはならないと思います。
88-7.png  「2015年合意」に向けた交渉は遅々としており、本当に実効性ある「2015年合意」ができるかどうかは予断を許しません。しかし、これまでの条約・議定書交渉を見ると、時には決裂したり、後退したりしながらも、確実に前に進んでいると思います。

図1 CO排出量(1996年)
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