アメリカの離脱

 このCOP6が開催されている一方で、アメリカでは民主党のゴア氏と共和党のブッシュ氏の大統領選の開票を巡る訴訟合戦が行われていました。COP6の最中にアメリカの政府関係者と話した際に、ブッシュ大統領が当選したらアメリカの交渉ポジションが大きく後退するのは必至なので、不十分な合意でも合意を成立させないと、大変なことになると言われたことを覚えています。
 結局、ブッシュ共和党政権が成立し、2001年3月、ブッシュ政権は京都議定書がアメリカの経済に打撃を与えるだけでなく、主要な途上国に削減義務を課していない不平等な条約だとして、京都議定書からの離脱を宣言してしまいました。
 ブッシュ政権の議定書からの離脱宣言で、日本が京都議定書の発効のキャスティングボートを握ることになりました。なぜなら、京都議定書の発効には55カ国と、目標をもつ国(附属書Ⅰ国)の排出量の55%を超える締約国の批准が必要とされ、アメリカが附属書Ⅰ国の排出量の36.1%、ロシアが17.4%、日本が8.5%を占めており、アメリカが抜けた状況では、 ロシアと日本が批准しなければ、議定書は発効しないからです。ロシアは余剰排出量(ホットエアー)*1を売ることにより大きな利益が得られることから、いろいろな主張はしても議定書の発効に前向きで、問題は常にアメリカに 追従する日本政府が、アメリカ抜きでも批准するかどうかが最大の関心事となっていました。当時の途上国グループの議長であったイラン大使は、記者会見で「(このCOP6では)日本政府のアメリカからの政治的独立性が試されている」と発言したほどです。
 結果的に、2001年7月にドイツのボンで開催されたCOP6再開会合で、日本政府は吸収源で大きな吸収量を獲得するなどの日本政府にとっての「成果」をあげ、最終的に運用ルールの政治合意(ボン合意)に同意しました。


*1 ロシア、ウクライナの数値目標は1990年比0%とされましたが、ロシアは95年時点で90年比でマイナス30%、ウクライナは96年時点で半減しており、この余剰分は何の対策をしなくても売却できることになり、この余剰分が「ホットエアー」と呼ばれます。
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